触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
ここは私の行きつけのオカマバーで、名前は「SARASA」。

奥のボックスで騒ぐのもありだし、カウンターで私のように人生相談するのもなんでもありなところだ。

外観は本当にお洒落な普通のバーと変わらないから、一見さんがよく勘違いをして立ち寄ってしまう。



初めは濃いオネエさんたちに囲まれるけど、話のうまさとノリの良さで一見さんはいつの間にか常連になっていく。



私も初めはそうだった。


2年前、今日と同じ理由で当時付き合ってた彼氏にふられ、泣きながら入った店がここだった。

タバコをふかしながらサラサさんは根気よく私の失恋の経緯を聞いてくれた。

そして「そんな男、別れて正解よ!」と私の代わりに怒ってくれた。隣で澪ちゃんも一緒になってうなずいてくれた。



それなのに今は



「共感してくれないなんてあんまりだ」



うおぉおおんと獣が吠えるように泣いてみる。

サラサさんが呆れたように細い細い煙を吐き出して吐き捨てた。



「だってあんたの話ワンパターンなんだもん、飽きちゃった」



サラサさんの真意が見えて思わず舌打ち。
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