触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「はー!食べた!お腹いっぱいになったら眠くなってきました」



レストランを出てから満足そうに目を細める澪ちゃん。

鉄板いっぱいにのせられたステーキをナイフとフォークで削り取っていく姿を思い出す。
獰猛だった。



「あの、ほんとにいいの?
映画もごはんも、私お金払ってないんだけど」

「良いんですよ、私が誘ったんですから」



澪ちゃんがあくびを噛み殺して、手をぷらぷら振る。



「澪ちゃん、仕事は何時から?」

「7時からです」



時計を見る。あと4時間か。



「えっと、どうしようか、これから仕事なのに付き合わせるのも申し訳ない気がしてきた」

「えー、私は元気ですけど」

「でもどこか休めるところがあれば、」

「『ご休憩』?」

「違う!もう、そういうことじゃなくて!」



経験が乏しすぎて、どうしたらいいのか分からない。

人が真剣に考えてるのに!



「じゃ、ぶらっと歩きますかー」

「えぇ……これから立ち仕事なのに?ほんとに大丈夫?」

「大丈夫ですよ〜」



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