触らないでよ！〜彼氏に振られたその日、女の子(？)に告白されました〜

「お待たせいたしました」



ちょうどいいタイミングで澪ちゃんがグラスを差し出してきた。

深いオレンジ色のカクテル。裸の淑女。



私は男の目の前で、一度も裸になったことがない。



潔癖症と言われたらそうなのかもしれない。
とにかく触られるのが死ぬほど嫌だった。


それを初めて思い知ったのが16歳のとき。

初めて告白されて付き合うようになった男の子の手の感触と体温が、今まで感じたことのないくらいの嫌悪感をもって私にまとわりついて来た。

そしてその嫌悪感は、男の下心からにじみ出ていることを知った。
先を急ぐ気持ちが漏れて、その気がない私にまとわりつく。
圧倒的な温度差。
それ以来、手を繋ぐことすらままならない。


もちろん、すべてがそうではないこともわかっている。

私のことを愛してくれて、その上で手を繋ぎたいとか体に触れたいとか、思っているのは感じていた。



でも一度染み付いてしまった嫌悪感は、なかなか拭えない。
私から好きになって付き合うことになっても、結局こうなってしまう。



ジレンマだ。