触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「はい、お待たせしました」



名前だけで選んだカクテルは薄いピンク色をしていた。

アルコールは入っていないのに、ショートグラスの見た目から少しずつ飲んでしまう。

グレープフルーツの苦さが口の中に広がる。



カバンの中のスマホが点滅しているのが目に入った。

澪ちゃんなわけないのに、期待して見てしまう。

全く関係のない通知を見て、勝手にへこむ。


やっぱりちゃんと会わなきゃダメだ……。



「……えーと、帰ります」



残っていたカクテルを一気に飲み干して、スツールから降りる。



「早っ! なんなのアンタ、何しに来たの?」



悪態をつかれて店を出る。

本当に何しに来たんだろう。

せっかく来たのに、澪ちゃんはいないし。



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