触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「はい、澪ちゃん座って、あ、ジャケット脱いで」



部屋のソファに座らせて、ジャケットを脱がす。

今まで気づかなかったけど、澪ちゃんはスウェットで、本当にお風呂上がりに来てくれたんだとわかった。

目を真っ赤にした澪ちゃんにティッシュを箱ごと手渡す。



「はい、これで涙とか鼻水拭いて。
ドライヤー持ってくるからちょっと待ってて」



着替えることも忘れて、ソファに座る澪ちゃんの後ろに立ってドライヤーを動かす。

背中の真ん中あたりまで伸びた茶色い長い髪が風に当たって動く度に、ふわっと甘い匂いがする。



「ミカさん、ありがとう……」



ソファの上で小さく体育座りをしている澪ちゃんがポツリと言った。



泣かしたのは私なのに……。

というか、こんな美人泣かせて、私本当にダメなやつじゃん!

これで私が振ってたら澪ちゃん今頃ホームに飛び込んでるんじゃないの!?



余計なことを考えて1人で悶絶する。

ドライヤーを片付けるついでにシャワーを浴びてくることを伝えて、澪ちゃんにテレビのリモコンを手渡した。


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