触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
コンビニで買った惣菜やホットスナックやお酒を、部屋のテーブルに並べる。

この部屋に引っ越してから、誰かを呼んで家飲みをするのは初めてだった。

しかもそれが澪ちゃんとなんて。



「いつも澪ちゃんにはお酒作ってもらってたから、一緒に飲むのってなんか変な感じする」

「私はミカさんと飲むの夢だったからめっちゃうれしいですけど」



そういう傍から、どんどん目の前でお酒の缶が空になっていく。

最近の学生の肝臓は一体どうなってるんだ……。
お姉さんちょっと心配になっちゃうわ。


4本目の350mlの缶が空になったところで、澪ちゃんに、私が他の人を好きになったらどうするのか聞いてみた。

ちょっとした軽い気持ちで。

また泣いちゃったらどうしようとは思ったけど。



「え、全然考えてなかったです。
だってミカさん、男運ないもん。
私に触れるようになっても、他の男に触れる可能性なんてないよ」



あっけらかんと言ってのける。
悪意がない分、ちょっと傷つく。

澪ちゃんは自分が振られる想像はできるのに、私が他の人に好かれる想像が出来ないらしい。



「そんなのわかんないじゃん!
澪ちゃんよりめちゃくちゃ好きになったら触れるかもしれないし」

「どうせ泣かされてSARASAに来るよ」

「なんでそういうこと言うの!?」

「そういうミカさんを何回も見てきたから」



ーーこの子の前で泣くんじゃなかった……。

あまりに的を射ていて、反論ができない。

反論できなくてあほ面になってたら、真顔になった澪ちゃんがまた頭を撫でてきた。

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