触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
気を取り直して、テーブルの上に散らかった空き缶を片付ける。

今日はもう寝よう。
明日も仕事あるし。


自分に言い聞かせてから、思い出す。



ーー澪ちゃんがトイレから出てこない。




「……澪ちゃーん」



電気がつけっぱなしの個室のドアをノックする。



「……はい」



少しだるそうな低い声が聞こえてきた。



「大丈夫?具合悪い?」

「……大丈夫です……」



ーーいや、全然大丈夫そうに聞こえないんだけど。




「……ちょっと、おさまったら出ます……」




ーー吐きそうなのかな、結構早いスピードで飲んでたもんなぁ。

二日酔いの薬、あったかな。



リビングに戻って、薬の入ったキャビネットを漁る。

薬を出してコップに水を入れたところで澪ちゃんが戻ってきた。



「大丈夫? 吐いた?
一応、薬出したけど」

「え、全然平気ですよ。
でも水はもらっていいですか?」



思いの外スッキリした顔をしている。



「じゃ、そろそろ寝ようか。寝室こっち」



澪ちゃんがむせた。

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