触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
数字の計算なんかは苦じゃない。
パソコンに向かってひたすら入力していけばいいし。

それよりも苦手なのが、



「須賀さん、すみません」



こうして一人ひとりに処理できない伝票を返していくことだった……。



「こっちの伝票、期限切れてるのでお返しします」



外回りに出る直前、コートを手に持った営業部の須賀さんに声をかける。



「あぁ、ごめん、やっぱり切れてたか。
ダメもとで出したんだけど……ダメ?」

「ダメです」



ハッキリ告げる。

期限はきっちり守ってもらわなきゃ。

なにが面白いのか、須賀さんがくつくつと笑う。



「じゃ、失礼します」



他にも期限切れの伝票を返しに回らないといけない。

謎に笑われたのは少し不愉快だったけど、気にせず営業部のエリアを回る。

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