触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「澪ちゃん、今は家?」

『はい』

「じゃあ仕事終わったらうちに来ればいいよ、場所わかる?」

『え!? ーーいいの?』



電話の向こうの声が急に明るくなった。

またしてもしっぽを全力で振る大型犬の姿が見える。



「うん。あ、パジャマはたぶん私のだとサイズ小さくて貸せないから、お泊まりセット持ってきてね」

『はい!』



ーーうぅ、素直で可愛い……。

絶対今にこにこしてるよこの子……。



「じゃあ、澪ちゃんの仕事が終わる頃まで、私は今から寝ます。
終わったら電話してくれる?」

『はい! あ、でも帰りは電車無くてタクシーだから、ミカさんの住所後で送ってもらえますか?』

「わかったー」



終始、上機嫌で通話を終える。

澪ちゃんに言われた通り住所を送ってから着替えて、乾燥機から洗濯物を取り出す。

ソファの上で畳みながら、今日、掃除してよかったと彼女みたいなことを思った。

……いや、彼女ですが。



< 90 / 259 >

この作品をシェア

pagetop