エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


「何が問題なの? とっても似合ってて素敵よ。鈴奈ちゃんはそういうシンプルな服が好きなのね。スカートとかは普段ははかないの?」

「あ、いえ。パンツとスカート半々くらいです。さすがに年末から二月くらいの寒さになるとパンツ一択ですが」

「そうよね。こんなこと言うと年寄り扱いされちゃいそうだけど、女の子はやっぱり体冷やすとよくないもの。私も年々寒さに弱くなっちゃって冬は暖房も床暖も付けた上でカイロ貼ってるの。主人には暑いって言われるけど、冷え性は女性の方が多いんだから仕方ないじゃないねぇ」

眉を寄せ話すお母さんに、クスクスと笑いながら「私も冬はカイロ必須です」と答える。
笑ったからか、緊張が少し和らいでいた。

もしかしたら、ガチガチの私に気付いたお母さんが気を遣って話題を振ってくれたのかもしれない。ありがたいなと思った。


36階につくとそこは別世界だった。
目の前には広大なパノラマが展開していた。この辺りはビルだって多いのに、角度によってはこんなに開けて見えるのか……と感心する。

遠くには海辺にある観覧車まで見えて自然と心が躍っていた。ここにくるために使った駅も、私が寄った雑貨屋さんが入った商業ビルもよく見える。


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