エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
今の今まで、本当に友達とおしゃべりするような内容だったのに、急に四宮さんの名前が飛び出してきて焦る。
瞬きが速くなっている私をお母さんがにこにこと嬉しそうに見てくる。
どうしよう……と一瞬考えたけれど、四宮さんのどこが、という問いをもう一度頭に浮かべると答えはそう難しくもないかもしれないという気になった。
だって、四宮さんのいいところなんて私はもう知っていた。
演技をする必要はない。
「えっと……ぶれない真っ直ぐなところが好きです。感情に左右されないって言ったら冷たく感じられてしまうかもしれませんが、そうじゃなくて……一時の気持ちだけで、決して誰かを傷つけたりしない、しっかりとした大人の男性だなって」
四宮さんはその場限りの発言も行動もしない。
それは彼の頭がよく真面目だから。
「うんうん」とにこやかにうなずくお母さんに続ける。
「それに、優しいところも好きです。寛容で、包み込んでくれるような雰囲気は一緒にいてとても安心できます。でも、そんな四宮さんなのでどこで息を抜けているのか少し心配……」と、そこまで話したところでハッとする。
「すみません……っ、ひとりでぺらぺらと話してしまって……」
いくら聞かれたからと言って、これは話しすぎな気がして謝る。
けれどお母さんは、嬉しそうに目を細めて首を横に振った。