エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
今でもあの車内の雰囲気や四宮さんの声も表情も覚えているのに……どうしてまた同じ疑問を繰り返し抱いているのかがわからず困惑する。
私がハキハキしたタイプじゃないと知った上で告白してくれたのに、浅尾さんの方が似合うんじゃないかなんてモヤモヤ考えてるの?
どうして、同期のふたりが仲良く話しているだけなのに、こんなに心が揺すぶられるの?
その疑問の答えを見つけると同時に、四宮さんがこちらを振り向く。
「藤崎、送っ……」
「すみません! お疲れさまでしたっ」
言葉を遮り咄嗟に走り出したのは失礼だったとは思うけれど、自分の中に生まれた感情にどうしたらいいのかわからず、気付いたら逃げ出していた。
このモヤモヤした重たい感情は……これは、やきもちだ。
しかも、よりにもよって浅尾さんをねたんでしまうなんて……!
それに、やきもちを焼くなんて四宮さんの告白を信じていないと言っているようなものだ。失礼にも程がある。
四宮さんに好かれるような人間じゃないと私が思うことと、四宮さんの告白を信じるかどうかは別の話なのに……自分勝手すぎる。
あんなに素敵な浅尾さんに対して嫉妬した自分がどうしようもなく恥ずかしくて、その日は寝るまでひとりでじたばたと暴れる羽目になった。