エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
「私、変態みたい……」
自分に妄想癖があったなんて初めて知っただけに、ショックでクッションに顔を埋める。
今座っているソファにも四宮さんとの思い出があるせいで、またもくもくと記憶が蘇ろうとするのを必死で止めた。
四宮さんの顔を見たら冷静じゃいられなくなると思ったから夕飯を断ったのに、想像の中の四宮さんにまでこんなにあたふたしていたら、ひとりでいる意味がない。
恋心は、たぶん結構前から薄々自覚していたけれど、昨日やきもちを焼いた自分に気付いてから、想いが加速している気がする。
他の人には渡したくないんだと、こんなに好きなんだと思い知らされた気分だった。
「はぁー……」
クッションに顔を埋めたままおでこをぐりぐりと押し付ける。
胸なのか頭なのか、それとも別のどこかなのか。
言葉にできないような、ぽやぽやとした感覚があってどかせない。
どうして形のない感情にここまで揺すぶられるのだろう。
こんな持て余してしまうような感情を、他の人たちはみんな幾度となく経験して失っているのか……と考え尊敬していたとき、携帯が鳴った。
なんの気もなしに手を伸ばすと、着信相手は四宮さんで、それを目で確認した途端体が跳ね携帯を落としそうになる。
それでも無視なんてできないので、深呼吸してから携帯を耳にあてた。
「はい……」
すぐに『俺だ』と声が聞こえ、喉の奥がむずむずする。