エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
四宮さんが私を名前で呼ぶようになった四日後。火曜日。
有給をとったという氷室さんと一緒に日用品の買い出しに出かけた。
朝食の席で「今日どうすんの?」と予定を聞いてきた氷室さんに、買い出しに出かけると話したら「じゃあ俺も付き合うかな」と言われ、車を出してくれると言う氷室さんに甘えることにした。
家具から生活雑貨までを取り扱う大型店で、必要なものをカートに乗せていく。氷室さんが車を出してくれたおかげで荷物の量を考えずに買い物ができてとても助かった。
私が、歯ブラシホルダーや洗濯ばさみ、フライパンなんかを手に取るのを眺めていた氷室さんが足を止めたのは、マットレスが売られているスペースだった。
「マットレス買うんですか? たしか二年くらい前に新しいものを買ってましたけど、体に合わないとか?」
だとしたらずいぶん我慢してたんだなぁ……と思いながら、十種類以上あるマットレスを見ていると、氷室さんが答える。
「いや、反発具合が気に入って買ったやつなんだけど、最近なんか若干へたってきた気がするんだよな。だからそろそろ寿命かなって」
「……マットレスの寿命ってたしか十年くらいですよ。使い方が悪いんじゃないですか」
なんの使い方、とは言わなかったけれど私が言いたいことは伝わったようで、氷室さんは苦笑いをこぼした。
「まぁそんな気はしてたんだけど」
不特定多数の女性を連れ込み放題しているからそんなことになるんだ、と呆れながら私もマットレスを眺め……ふと四日前のことを思い出した。