エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
「あ、えっと……つまり、寝言で呼んでいたのは女性ではなくて、花の名前だったわけですね……」
それを私が勝手に過去関係した女性かもしれない!と思い込んでショックを受けて……しまいにはメッセージを無視。
自分のしでかしたひとり相撲にさっと血の気が引いた。
「すみません! 私、てっきり女性の名前だと思って……氷室さんに聞いても、四宮さんは遊んでるって当たり前の顔して言うから、そうなんだと……四宮さん本人になにも確認せずにそう決めつけてメッセージまで無視してしまって……」
頭をガバッと下げて謝る。
「私、こういう気持ち初めてで……ひとりでうじうじ考えて不安になって勝手にショック受けて……でも、本当にそうだったらどうしようって思うと怖くて聞けなくて……本当にすみませ――」
話している途中で、不意に手に触れられる。
咄嗟に顔を上げると、私の手を握った四宮さんがじっと私を見つめていた。口角がわずかに上がっていて、なんだか嬉しそうに見える。
「あの……?」
「俺が寝言で誰の名前を呼んだのか、気になったのか?」
さっき、そう伝えた。
でもこんな風に再度確認するように聞かれると、答えにくさを感じた。
雪が降っている中だというのに、恥ずかしさからどんどん顔が熱くなる。