エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


「鈴奈ちゃんと話したいから定期的に連れて来てってお願いしてるのに、昴貴ってば〝わかった〟っていうだけなんだもの。でも今日電話してみてよかったわー。偶然鈴奈ちゃんと一緒だったなんてこれもなにかの縁ね。あ、鈴奈ちゃん、ケーキは何がいい? チーズケーキもショートケーキもたくさんあるから好きなだけ食べてね」

「は、はい。ありがとうございます」
「あと、昴貴はあてにならないから、番号聞いてもいいかしら? もちろん、お仕事中は連絡入れたりしないから」

「あ、はい。もちろん……」
「ありがとう! たまには一緒にお買い物行きましょうね」

席につくなりすごい勢いで話しかけてくるお母さんに、少しびっくりしながら笑顔を返す。
腫れると思われたおでこは、やっぱり多少腫れたものの赤みはなく、前髪でカバーできたので助かった。

ちなみに、氷室さんの腫れの方がひどくて今日はおでこに湿布で過ごすらしい。可哀相ではあるものの、この件で謝るつもりはない。

初めて来た四宮さんのご実家は、とても立派なものだった。
出窓が目を引く、可愛らしい洋館風の造りのおうちの外壁はオフホワイトで、屋根は濃いグレー。

建物だけでも十分すぎる広さがあるのに、さらに子供が遊びまわれるほどの庭と車が四台は停められそうなガレージがあり、周りをぐるっとレンガの壁が囲っている。

アンティーク調の門を抜けた先にある玄関までのアプローチは綺麗なカーブを描いていて、そのわきには膝の高さほどの植木が並んでいた。

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