エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
入って右側にはL字型の布張りのソファと向き合うように大きなテレビが置かれていて、その間にローテーブルがある。
左側はステップフロアになっていて、二段の階段の上には大きなベッドと本棚が並んでいた。
戸建ての一室が、私の生活するワンルームと同じほどの広さがあることにまず驚く。
当然ながら私の部屋とは違い、キッチンなどの水回りはないのでその分広々としていて思わずため息が落ちた。
「素敵なお部屋ですね」
「俺も自分の部屋に入るのは久しぶりだ」
「あ、そうですよね。ひとり暮らししててなかなか帰らないって言ってましたもんね」
だからご両親が心配してお見合い話が出たんだっけ……と思い出していると四宮さんがドアを閉める。
「あとでそっちの部屋にも招待する。……ああ、これだな。母さんが言っていたのは。他に必要なものがないか確認してくれるか?」
ベッドの上に置いてある服と、トートバッグ。言われるままバッグの中を確認すると、ベビーピンクのパジャマと白いふわふわとしたカーディガン。洗顔道具一式と下着まで入っていて驚く。
しっかりとしたサイズがわからなかったからか、下着のタグにはMとあった。
そういえば、食事の席に着く前に、お母さんが使用人の方に買い物リストだと言ってメモを渡していたけれど、もしかしたらこれだったのかもしれない。
一緒に置いてあった服は、白のインナーと袖がぽわんと膨らんだ薄いピンク色のハイネックセーター。それに、膝下丈の黒いフロアスカート。ストッキングの準備もあった。
ベッドサイドにあるハンガーラックにレディースの白のノーカラーコートがかかっているし、その下にはショートブーツまで置いてあり思いきり恐縮する。