エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
色や形は好みだけれど、きっとどれも私がいつも使っているものよりも相当上等だ。
これ一式でいったいどれくらいかかったのだろうと、心配になってしまう。
そんな私の気持ちを読んだようなタイミングで四宮さんが言う。
「母さんが勝手に選んで買ったものだ。鈴奈はただ遠慮せず受け取ってくれればそれでいい。母さんはそれで満足なんだから」
「でも、そういうわけには……」
「鈴奈の性格からして遠慮するのはわかるが、今のうちにそうしたところで無駄だと知っておいた方がいい。……ああ、好みじゃないのなら別の物を」
「いえ! 大丈夫です」
四宮さんの言葉を遮るように言う。
「すごく可愛いです」
ニットを手にとりながら言うと、四宮さんがふっと頬を緩める。
「ずっと娘が欲しかったらしいから、一緒に買い物なんて出かけた日にはすごいことになるだろうな」
「え、もうお買い物の約束しちゃいました……」
さっきケーキを食べながらした約束を思い出し、血の気が引く。
どうしよう。この調子だと一緒に出掛けたりしたらあれもこれもと流されるまま山ほど手にとることになりそうだ。
そうなったとして、支払われてしまう事態は避けたい。
カードの限度額っていくらだったっけ……と考えていると。
「俺や母さんと一緒にいるのに自分で支払おうなんて考えは捨てた方がいい」
私の頭の中を見透かしたようなタイミングで言われる。
「あの、じゃあ四宮さんからお母さんに、私にはなにも買い与えないように言ってもらえませんか? 私、ただ色々お店を眺めてお茶する感じだと思ってお受けしただけですし……」