エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
釘をさしておかないとまずい気がする。
用意された服一式を前に確信した私のお願いに、四宮さんは目を細め「断る」と言った。
表情と答えが合っていない気がして戸惑っていると、四宮さんが続ける。
「俺もこれから鈴奈を甘やかしていくつもりなのに、母さんを止めるのは自分勝手だろ」
「え、甘やかしてって……」
「買い物は来週の月曜だったか。覚悟して当日に臨んだ方がいい。荷物が抱えきれなくなったら迎えに行くから連絡してくれ」
歓迎してくれるのはとてもありがたいことだと思う。私は四宮家にとってなんのプラス材料も持ち合わせていないのにここまで無条件で可愛がってもらえるのは嬉しい。
けれど、申し訳ないという思いに押しつぶされどうにかなりそうだった。
『俺とか四宮の立場ってなると、うるさく言うヤツも周りにいるかもしれないし、あんまり呑気なことも言えないけど……四宮のところならまぁ、大丈夫じゃねーの』
氷室さんの呑気な声が頭の中に聞こえていた。