エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
そんな関係ではないと主張したところで、合鍵を持っている私の言い分なんて信じてはくれない。親族でもなんでもない異性の部屋の合鍵を持っている時点でアウトだ。
だけど、本当に私と氷室さんはそんな関係ではないのだけれど、それが世間一般的には異常と映るのかな……と考えていて、ふと四宮さんに目が留まる。
彼の視線はまっすぐに氷室さんに向けられていた。
それを不思議に思った氷室さんが「なに? どうかした?」と聞くと、四宮さんは一拍置いたあとで口を開いた。
「おまえの藤崎に対するそれは、ただの親愛か?」
確認するような問いに、氷室さんはキョトンとした顔で答える。
「そうだけど。だって鈴に欲情したことないし」
「……まぁいい。悪かった。俺が口を出すことでもなかったな」
「いや、別にいいけど。それより鈴。四宮、三日後誕生日なんだよ。月曜日でちょうど休みだし夕飯招こうかなって思ってるんだけど」
自動車メーカーであるうちの会社の休みは毎週火曜日と隔週の月曜日。なので、三日後の二十四日の月曜日は四宮さんも私も休みだ。
一方の氷室さんは決まった曜日ではなくポツポツ都合のいい日に休んでいる。
言いだしたのは氷室さんだし休めるという目測なんだろう。