エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
氷室さんは普段の生活がだらしなさすぎるし、四宮さんはとてもまともだから忘れていたけれど、本来私がこうして一緒に誕生日パーティーをするような人たちではない。
身分の差を思い知った途端、御曹司ふたりに素人の手料理を出すなんて失礼だったかもしれない、という不安が浮かんだけれど、パーティー開始から一時間ほどが経った今、お皿に残っている料理はほとんどなく、そこにホッとする。
いつの間にか四宮さんと氷室さんが綺麗に平らげてくれていた。
「あの、お口に合いましたか?」
四人掛けのダイニングテーブル。隣に座っている四宮さんに恐る恐る聞くと、すぐに「ああ」とうなずかれた。
「料理、うまいんだな。普段から自炊してるのか?」
「毎日きちんと作ってるわけではないですけど。自分で作った方が安上がりですし、氷室さんは放っておくと外食ばかりして体調崩すので」
意外だけど、氷室さんは昔体が弱かった。
具体的にどこか悪いわけではない。でも、季節の変わり目だとか寒暖差でよく体調を崩していて、今年の夏も一度寝込んでいた。
昔から比べれば多少強くはなったものの、今でも私よりは病弱だ。きっとだらしない生活のせいも多少はあるんだと思う。
そんな事情もあり、なるべく体にいいバランスのとれたものを作っている。とはいっても、私にも仕事があるし疲れた日は簡単な手料理で済ませてしまうことも度々あるけれど。
そう説明すると、四宮さんはひとつため息を落とした。