エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


『小学生とか中学生ってくだらねーことするからなぁ。気にするなよ。学校なんか最悪行かなくたってどうにでもなるし。おまえ真面目そうだし自分で勉強できるだろ。小中皆勤賞でも俺みたいになるんだから、出席日数なんかあんまり関係ねーよ』

『もし、鈴が本当に我慢できないってほどのことされたらさ、俺に言えばいいよ。そしたら小学校乗り込んでひどいことしたヤツ、説教してやるから。ついでに職員室に殴り込みして担任もしばく。そしたらもう誰も鈴のこといじめなくなるだろ』

氷室さんは、そう明るい顔で笑った。

『……でも、もう私、授業参観で爆発しちゃった。我慢できなくなって』
『偉いじゃん。人間、たまには爆発しないと壊れちゃうだろ。鈴は色々あったんだし、一度や二度爆発したところで誰も文句言わない。なんか言うやつがいたら俺が言い返してやるよ。ああ、将来弁護士になってやろうか。そしたら訴え放題だな』

小学生ながら、氷室さんにそんなことできるわけないと思った。
でも、その適当さに、そこまで重く考えることでもないのかもしれないと気持ちが軽くなり救われたし……今もそうだ。

「氷室さん、ああ見えて結構繊細なところもあるんです。女性関係にだらしないのは……仕方ない部分もありますし。ほら、それだけ母性というかそういうものを求めてしまっているのかなって。……もちろん、あまり褒められた行動じゃありませんけど」

酔っているせいもあるにしても、さっきから私ひとりがべらべら話している気がして急に恥ずかしくなる。

四宮さんに退屈な話を聞かせてしまい、申し訳なく思いながら「それより」と話題を変えた。


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