エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


〝今日、十九時半には支店まで迎えに行けるよう調整してる。会えるか?〟

そんなメッセージを受信したのは、四宮さんの誕生日パーティから三日が過ぎた木曜日。
迷った末、〝大丈夫です〟とだけ返し、ふーっとひとつ息をついた。

十四時の休憩室には私しかいない。午前中忙しかったため、お昼休みをとるのがこんな時間になってしまった。

塚田さんは基本的に椅子から離れないから、今、店頭はどうなっているだろうと考えると不安になる。
だから半年くらいはお昼休みを削って早めに戻っていたけれど……最近はなんだか疲れてしまい、それもやめていた。

気分転換するために、しっかり一時間休ませてもらっている。

四宮さんへの返信を打ってから数分で、また携帯が震える。確認すると〝じゃあ、十九時半に〟というメッセージが表示されていた。

自分でも恋愛が苦手だと言っていた通り、私から見ても四宮さんは異性に対してマメに連絡をとるタイプには思えない。
身近で仕事ぶりを見ているからか、仕事を第一に考えているのがわかるし、そもそもの人付き合い自体、好きではなさそうだ。

定例化している内容のない会議も、ずっと帳簿に乗り続けている(いにしえ)の経費も、親睦会や決起集会といった騒ぎたいだけ飲み会も、無駄なものはスパッと省いて切り捨てている印象が強い。

必要なものだけを厳しい目でしっかり選別している。
そんな四宮さんが時間を割いてこうしてメッセージを送ってきてくれるのは、正直意外だった。


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