エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
私なんかが四宮副社長のことが気になるなんておこがましい……!と思ったものの、うなずくと、浅尾さんはペットボトルのカフェオレを飲みながら視線を宙に浮かせた。
「うーん。完璧っていうか、すごく真面目な人だよね。大学の頃からずっとそう。仕事でも妥協を許さないところがあるし、それでいて部下へのフォローもきちんと考えてるし、脳みそがいくつあっても足りないんじゃないかって心配になる」
「真面目……そうですよね」
「将棋の対局とかってさ、頭をすごく使うから指しながらケーキとか和菓子とか食べるでしょ? ブドウ糖摂取して脳を働かせるために。あれと一緒で、四宮くんも角砂糖とか食べながら仕事した方がいいんじゃないかって思うレベルだよ」
笑いながらだから、きっと浅尾さんは冗談半分で言っているんだろう。
けれど、私も四宮さんの多忙ぶりは知っているだけに、たしかに角砂糖は必要かもしれないと納得してしまう。
新しい菓子パンを開けた浅尾さんが「いわゆる〝できる男〟なんだと思うよ」と続ける。
ふたつ目のパンは、カレーパンだった。
「完璧って言っても、意外と情にも厚いからドライってわけでもなくてね。ほら、氷室くんのことをけちょんけちょんに言いながらも結局付き合いを続けてるところとか。あのクールな見た目からするとギャップ萌えに相当するかもね」
「……なるほど」