エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
〝完璧〟という単語には、たしかに少し冷たい、自分の損得だけを優先させるような機械的なイメージがあるかもしれない。けれど四宮さんは違う。
それどころか、とても優しいあたたかい人だ。
浅尾さんの言っている意味がわかり、ひとり笑みを浮かべる。
浅尾さんが知っている四宮さんと、私が知っている四宮さんが同じで嬉しく思った。まだ出逢って間もないのに、偽りのない姿で私と接してくれているんだとわかったから。
「四宮くんはさ、なにかを隠されたりとかがすごく嫌いみたいなの。あとで面倒なことになるのが嫌みたい。だから、恋人にするのはハキハキした女性ばかりだったけど、結局続いて数ヵ月だった。四宮くんは気付いてないけど、たぶん、彼にはそういうタイプは合わないんだよ」
少しだけ悲しそうな声で言った浅尾さんが私を見てニコッと笑う。
「もっとほんわかした柔らかくて強い子がいいと思う。だからってわけじゃないけど、私は鈴奈ちゃんと四宮くん、お似合いだと思うんだ」
カレーパンを頬張った浅尾さんに、なんて返せばいいのかわからなくて、ただ困ったように笑うことしかできなかった。