エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


『四宮くんはさ、なにかを隠されたりとかがすごく嫌いみたいなの。あとで面倒なことになるのが嫌みたい。だから、恋人にするのはハキハキした女性ばかりだったけど、結局続いて数ヵ月だった。四宮くんは気付いてないけど、たぶん、彼にはそういうタイプは合わないんだよ』

それは、四宮さん本人も言っていたことだ。

『正直、恋愛には苦手意識があるんだ。俺は、相手が抱え込んだ気持ちまで察してやることができないから、今まで意図的にハッキリした性格の女性と付き合ってきた。気持ちを我慢されて後々面倒なことになるのが無駄だと思ったから』

言っている意味はよくわかる。
黙っていても察してほしいという女性を苦手とする男性は少なくないだろう。

四宮さんは仕事が忙しいし、そういう女性特有の部分に付き合っている時間はないというのもわかる。

四宮さん本人がとても真面目なぶん、相手に隠し事をされたりするのが嫌なのも。

けれど……正直、私は四宮さんが苦手としているタイプな気がしている。だから、なんだか身分を偽っているような気分になって落ち着かない。

童話で言えば、ただの町娘がお城で開かれたダンスパーティーに誤って迷い込んでしまった気分だ。
シンデレラは夢見心地で楽しんでいたけれど私は罪悪感の方が強く、白状せずにはいられなかった。

自分自身が四宮さんに惹かれ始めていると知っているからこそ、偽ったまま彼の前に立つのは無理だった。


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