エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~
四宮さんの告白を信じていなかったわけじゃない。でも、私の中ではやっぱりどこか夢心地でいたのかもしれない。
それが今、初めて四宮さんの感情に触れた気がして……本気で想ってくれているのだと実感して、心の中を嬉しさだとか戸惑いがグルグルと一気に駆け巡った。
胸の内側で起こったあまりの衝撃のせいで、私が完全に停止していたからだろう。四宮さんが「どうした?」と不思議そうに聞いてくるので、「あ、えっと」と口を開いた。
「今、唐突に……すごく、実感してしまって」
「なにを?」
「四宮さんに、本当に告白されたんだってことを……です」
顔を赤くしながら答えると、四宮さんはややしてからわずかに眉を寄せた。
「まさかまだ信じていなかったのか?」
「いえっ、信じてはいました。冗談で言うような人でもないってこともわかってたつもりだったんですけど、実際はそうじゃなかったみたいで……でも今すごくそういうことなんだなって、きちんとわかったというか……ストンと落ちてきてびっくりして」
自分自身の気持ちなのにうまく説明ができずもどかしい。
聞いている側からしたら、そのもどかしさは倍以上だろうと思い「すみません」と謝ると、「いや」と微笑まれた。