花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜
「陽菜、あれやろう!」
志穂が射的を見つけてハルに声をかける。
階段状の台の上に、ぬいぐるみやおもちゃ、お菓子が並べられていた。料金は5発で五百円。
「カナ、いい?」
「もちろん!」
志穂が財布を出す横でハルも財布を出そうとするのを制して、横から支払ってしまう。
「え? 自分で出すよ?」
「いいのいいの」
「そうそう。彼氏が出してくれるってんなら、出してもらったら良いって」
法被姿の威勢の良いお兄さんが、
「はい」
と銃をハルに差し出す。
「ありがとう!」
と横から銃を取り、改めて
「はい」
ハルに渡すと、お兄さんはクスッと笑った。
「ありがとう」
はにかみながらふわりと笑ったハルに
「どういたしまして」
と満面の笑顔を返す。