花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜

「陽菜、あれやろう!」

 志穂が射的を見つけてハルに声をかける。
 階段状の台の上に、ぬいぐるみやおもちゃ、お菓子が並べられていた。料金は5発で五百円。

「カナ、いい?」

「もちろん!」

 志穂が財布を出す横でハルも財布を出そうとするのを制して、横から支払ってしまう。

「え? 自分で出すよ?」

「いいのいいの」

「そうそう。彼氏が出してくれるってんなら、出してもらったら良いって」

 法被姿の威勢の良いお兄さんが、

「はい」

 と銃をハルに差し出す。

「ありがとう!」

 と横から銃を取り、改めて

「はい」

 ハルに渡すと、お兄さんはクスッと笑った。

「ありがとう」

 はにかみながらふわりと笑ったハルに

「どういたしまして」

 と満面の笑顔を返す。

< 14 / 23 >

この作品をシェア

pagetop