花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜

「これ……重いね」

 射的の細長い銃を受け取るなり、銃身が震えて狙いが定まらないまま、ゆっくりと台に下された。

 どうしよう、と言いたげな困った顔のハルが可愛くてならない。

 そんなハルの向こうでは、やる気満々の志穂が、

「よしっ、あのお菓子狙いで!」

 と最初の一発を打っていた。

「ハルは何か欲しいものがあるの?」

「え、……特には」

「じゃあ、あのウサギのぬいぐるみね」

「え、うん」

 オレはカメラを台に置くと、ハルを後ろから抱え込むようにして銃を持ち上げた。

「カナ?」

「一緒に打つよ。……ほら、引き金引いてみて」

 戸惑うハルを促し、狙いをウサギのぬいぐるみに定める。

「打っていいよ」

 オレが再度促すとハルは引き金を引いた。

 パンッ

「惜しい! 当たったのに!」

 悔しがるオレの腕の中で、ハルは目を丸くしてウサギのぬいぐるみを見ていた。

「もう一発行こうか」

 オレはまた狙いを定める。

「ハル、いいよ」

 パンッ

「あっ!」

 ハルが小さく声を上げた。

「やったな」

 コロンとウサギのぬいぐるみが転がり落ちて、お店の人が

「おめでとう!」

 とオレたちの前にぬいぐるみを置いてくれた。

 
   ☆    ☆    ☆ 

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