花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜

「リッチだろ? 何しろ、じいちゃん、ばあちゃんのお供だからね」

 オレが笑って告げると、「あ、そういうこと」と、そいつらも得心がいったと言うように、表情を緩めた。

 別にケンカするつもりはない。
 確かに、電車で10分、車で20~30分、隣の市でやる花火大会にホテルの部屋取るのって、リッチなんだろうと思う。
 しかも、あえて言っていないけど、ホテルでも2部屋しかない広々としたバルコニー付きのスイートルームだ。

 宿泊客同士、屋上で見るプランもあるらしいけど、他人がいると落ち着かないだろう? ハルの具合が悪くなった時だって、すぐに休めるベッドがある方が都合が良いんだ。

 別にいいじゃん? 人それぞれだ。

「じゃ、斎藤、また」

「ああ、またな」

 オレの言葉に斎藤は手を上げた。

「ええ、拓斗、オレ、もっと話したんだけどー」

「ちゃんと紹介しろよ」

「また、今度な。そろそろ場所取り変わる時間だろ?」

「あ、ホントだ」

「じゃあ、またね。今度は名前教えてね?」

 と最初にハルに声をかけたヤツが、またハルに声をかけて、ハルが固まっている間に、斎藤に腕をひっつかまれて連行された。

 もちろん、今度なんてものはない予定。

 嵐が去った後、ハルがぽつんとつぶやいた。

「……元気だね」


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