花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜

 ドドーンドドーンと迫力満点の音がして、暗くなった空には大輪の花が咲いた。

「うわあぁ~。きれ~」

 志穂が上を見上げてため息を吐いた。

 地上からも歓声が上がっている。

 ホテルの5階は高過ぎず低過ぎず。

 部屋の電気も消してあるから、程よい暗さの中、少し見上げる高さに花火が上がる。

 広々したバルコニーには椅子が5脚。
 間に置かれたテーブルには飲み物とちょっとしたおつまみ。

「きれいだね」

「うん。とっても」

 隣に手を伸ばして、ハルの手を握ると、ハルもキュッと握り返してくれた。

 ドンッドンッと勢いよく何発もの花火が上がる。

 ハルとオレにとっては2年ぶりの花火。




 時折、志穂がハルに話しかけたり、オレがハルに話しかけたり、じいちゃんとばあちゃんが何やら談笑していたり、そんな中で花火は何発も何発も上がり、空に大きな花を咲かせる。




 華やかな時はあっと言う間に流れ、気が付くとフィナーレの連弾とナイアガラの滝が空と川面を彩っていた。

 一発や二発の花火と違い、大量の花火が一気に上がり、暗い空と水面がグッと明るくなる。

「……きれい」

 地上から聞こえる歓声の中、ハルのつぶやきが漏れ聞こえた。

「ほんっとーーーにきれいだね」

 志穂がしみじみと真顔で言う。

 そうしてすべての花火が打ち上げられ、花火大会終了のアナウンスが聞こえて来た。


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