花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜
いつの間にか、2人のじゃれ合いは終わっていたみたい。
「……あ、ごめん」
「ううん。別にいいけど、大丈夫?」
しーちゃんが心配そうにわたしの顔をのぞき込む。
付き合いが長いしーちゃんは、わたしがこの時期は例年、大きく体調を崩すことをよく知っている。
「大丈夫。元気だよ」
だから、笑顔を見せて元気をアピール。
試験明けだし、気温も大分高くなってきたし、そりゃ少しは疲れている。けど、これくらいなら元気と言ってもいいはず。
「なら良いけど。ムリはしないでね?」
「うん。ありがとう」
にっこりと笑いあった次の瞬間、しーちゃんが不意に真顔になった。その次の瞬間には満面の笑顔。
「そうだ。ねえ、陽菜、一緒に花火大会行かない?」
「花火大会?」
「蔵上川花火大会。隣の市の川沿いでやってるじゃん、毎年」
しーちゃんが、「ダメ?」と言うように目を輝かせて、両手を組んでおねだりポーズを取った。
「ほら、陽菜、今年は調子よさそうだし、行けるかな~って。露店もいっぱい出るし、楽しいよ〜」