花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜
「あ、えーっと、行ける……かな?」
花火大会は終業式の翌日。
入院はその後だし、行くことに問題はない。ただ……。
「ん? あ、もしかして先約あり?」
と、しーちゃんはカナに視線を移す。
「先約っつーか、行ける年は見に行ってんだよ、それ。
けど、あんまり、夏祭りとか花火大会って感じじゃないんだよな?」
と、カナがわたしに視線を移し、それを受けて、しーちゃんはまたわたしを見た。
「あ、えっと……ね、しーちゃん、花火、ホテルで見るのでも……良い?」
「ホテル?」
「会場、混んでるでしょう? だから、わたし、花火見学できる元気のある年は、ホテルのバルコニーから見てるの」
ただでさえ真夏の暑さの中、花火大会の混雑で人にもまれたら、きっとわたしの身体は30分ともたない。
ああいう混み合った場所って、どうにも空気が薄い気がする。
人が多いし、露店で火も使っているからかな?
だから、夏祭りの雰囲気は、花火の前の明るい時間に少しだけ味わって、花火自体はホテルのバルコニーで、ゆったり椅子に座って見学する。
「志穂、大丈夫? どういうことか分かってる?」
「えーと、分かるような分からないような?」
わたしの話に首を傾げていたしーちゃんは、へへっと笑いながら頭に手をやった。
それを受けて、わたしの代わりにカナが説明を買って出てくれた。