花火大会 〜14年目の永遠の誓い 番外編(4)〜
教えてもらっていた部屋でインターホンを押すと、すぐにドアが開いた。
出てきたのは、思いもかけず……。
「え、叶太くんも浴衣!?」
思わずマジマジと見てしまう。
「ジロジロ見過ぎ。もう少し慎み持てよ」
叶太くんはそんな風に笑うけど、これはちょっと予想外。
紺の縦縞。和装はよく分からないけど、正直、かなり似合ってる。
「や、でもさ~」
何て言おうか言葉を探している間に、
「カナ、しーちゃんだった?」
と、奥から陽菜の声。
「ああ、志穂だった! ……入れよ」
叶太くんは振り向いて奥に向かって声をかけると、ドアを大きく開いて横にずれた。
「……え? なに、この部屋」
一歩中に入ると、目に映ったのは広々とした明るいリビング。一番奥の大きな窓からは日差しが差し込む。
……ホテルの客室、よね?
「広いだろ? プルデンシャルスイートルーム」
「広いってか……広すぎじゃない?」
スイートルームって初めて入った。こんなにすごいんだ。
リビングには5~6人は座れそうなソファ、右手奥にはダイニングルームまで見える。
ドアは幾つある?
この他に、寝室もあるんだよね……?
呆然としていると、リビングのソファから陽菜が立ち上がったのが目に飛び込んできた。