記憶奏失
美那子がひかりのことをレッスンに通わせ始めてから数日。
ひかりの気持ちとしては、本当は母に教えて欲しかったところだったが、当の本人がそれを拒んだ。
理由は簡単だ。教えるのに向いていないタイプだから。
いわゆる、秀才ではない天才タイプというやつで、言葉や行動で、言って、見せて教えることが、どうも苦手らしいのである。
基礎からしっかりと固めて、私とは違うキャリアを歩んで欲しい。別にプロなんかにはならなくとも、それはきっと未来の財産になるから——そんな思いから、美那子はひかりの気持ちには答えられなかった。
はじめの内は、それはそれはつまらない時間ばかりだった。
ピアノには触らず、まずは基礎の基礎、楽譜の読み書きから練習だ。
これがこうで、あれはこう。業務的に。
そんな中で。
それは、突然にやってきた。
ひかりの気持ちとしては、本当は母に教えて欲しかったところだったが、当の本人がそれを拒んだ。
理由は簡単だ。教えるのに向いていないタイプだから。
いわゆる、秀才ではない天才タイプというやつで、言葉や行動で、言って、見せて教えることが、どうも苦手らしいのである。
基礎からしっかりと固めて、私とは違うキャリアを歩んで欲しい。別にプロなんかにはならなくとも、それはきっと未来の財産になるから——そんな思いから、美那子はひかりの気持ちには答えられなかった。
はじめの内は、それはそれはつまらない時間ばかりだった。
ピアノには触らず、まずは基礎の基礎、楽譜の読み書きから練習だ。
これがこうで、あれはこう。業務的に。
そんな中で。
それは、突然にやってきた。