記憶奏失
「ひかりちゃん。これ、全部間違ってるわよ?」
先生にそう指摘されたひかりは、一度全部消して書き直した。
直したそれは、先とは全く同じものに、ひかりの目には見えていた。
これでどうして間違っているのだろう。そう思いつつも、また先生に見せてみると、
「また全部——それも、さっきよりもぐちゃぐちゃだわ」
そんな馬鹿な。
慌てて取り返したそれに目を通す。ちゃんと、習った通りに出来ている筈だ。どこも間違っていない。間違ってる筈がない。
また消して、書いて。
消して、書いて、消して、書いて、また消して、書いて。
何度繰り返しても、
「…………違うわね」
「そ、そんな…」
狼狽えるひかりを、見かねてか。
先生はちょっと待っててくれとだけ言い残すと、部屋を後にした。
程なくして、母が迎えに来た。
先生にそう指摘されたひかりは、一度全部消して書き直した。
直したそれは、先とは全く同じものに、ひかりの目には見えていた。
これでどうして間違っているのだろう。そう思いつつも、また先生に見せてみると、
「また全部——それも、さっきよりもぐちゃぐちゃだわ」
そんな馬鹿な。
慌てて取り返したそれに目を通す。ちゃんと、習った通りに出来ている筈だ。どこも間違っていない。間違ってる筈がない。
また消して、書いて。
消して、書いて、消して、書いて、また消して、書いて。
何度繰り返しても、
「…………違うわね」
「そ、そんな…」
狼狽えるひかりを、見かねてか。
先生はちょっと待っててくれとだけ言い残すと、部屋を後にした。
程なくして、母が迎えに来た。