記憶奏失
第1章 明晰夢…?
高校一年の冬。
一月の頭がひかりの誕生日。祝いの席には、毎年ちゃんと母美那子がいた。
けれども今年は、
「ごめんね、ひかり。どうしても外せなくて」
もう何度目になろうかという、美那子の謝罪。
美那子の言うそれは、海外で行われるとあるイベントのことであった。
これまで国内のみで活躍を続けて来た美那子だったが、前々から向こうの人には声をかけられていた。
その舞台で成功すれば、また定期的にお呼びがかかる。更にはその舞台だけでなく、単独のコンサートや他のイベント出席も斡旋して貰えるという話。非常に大事な席だ。
しかし美那子は、毎年呼ばれるその時期に、ひかりの運動会があったり、部活の大会があったり、誕生日があったりという理由から、全てを断り続けていたのだ。
そんな中で、此度のそれは殊更特別で。
何でも、今回を逃せば、次はほぼ無いのだということ。
ひかりは、それを知ってはいたから、
「大丈夫だよ、気にしないで。いいチャンスじゃん。今度こそ無駄にしちゃダメだよ」
笑って、美那子の海外出張を、大手を振って見送ることに決めた。
一月の頭がひかりの誕生日。祝いの席には、毎年ちゃんと母美那子がいた。
けれども今年は、
「ごめんね、ひかり。どうしても外せなくて」
もう何度目になろうかという、美那子の謝罪。
美那子の言うそれは、海外で行われるとあるイベントのことであった。
これまで国内のみで活躍を続けて来た美那子だったが、前々から向こうの人には声をかけられていた。
その舞台で成功すれば、また定期的にお呼びがかかる。更にはその舞台だけでなく、単独のコンサートや他のイベント出席も斡旋して貰えるという話。非常に大事な席だ。
しかし美那子は、毎年呼ばれるその時期に、ひかりの運動会があったり、部活の大会があったり、誕生日があったりという理由から、全てを断り続けていたのだ。
そんな中で、此度のそれは殊更特別で。
何でも、今回を逃せば、次はほぼ無いのだということ。
ひかりは、それを知ってはいたから、
「大丈夫だよ、気にしないで。いいチャンスじゃん。今度こそ無駄にしちゃダメだよ」
笑って、美那子の海外出張を、大手を振って見送ることに決めた。