瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


王様という地位の凄さがありありと伝わってくる。

私は緊張しながら,固く冷たい扉を叩く。

数秒後に「入れ」,という低音の,でも少し幼さが残るような声で言われる。

「失礼します,陛下。」

ガチャリ,と重くて余計に大きい扉を体重をかけて開ける。

「テールの後輩のアイリスでございます。
お届け物に参りました。」

カタコトの敬語で何とか伝える。

「……新人か?」

「はい。北国から参りました。」

……鋭い目。

11歳,12歳くらいの歳なのに,もうこんな世界を威嚇するような目付きをするのか…。
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