瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


「ですから,私とお茶をしませんか。」

「……お前,頭おかしいだろ。
俺をお茶に誘う?お前の身分で?
ふざけるな。冗談も大概にしろ。」

貶されても,脅されても,私は怯まない。

前を向いて,力がなくても,どうにでも出来る人になりたいから。

「……私は元貴族です。
陛下には劣りますが,作法は得とくしております。」

「……身分の話だけではない。
余には仕事がある。お前に構っている間に,国民のことを考える時間にする。

わかったらさっさと出ていけ。」

「……陛下は,作法が分からないのですか?」

「……は?」

「陛下は,仕事を直ぐに終わらせることが出来ないのですか?」

「……はぁ?」

私は笑みを貼り付けたまま皮肉を言う。

すぐに噛み付いてくれた。

どうやらこの王,負けず嫌いのようだ。
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