瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
人参に似ているが,確かドクニンジンという名前の草だ。
つまり,人参の振りをしているまがつもの。
「俺にピッタリの花だな…。」
そっと触れると,ゴワゴワとした感触が俺の手にまとわりつく。
周りを見ても,美しい花は目には止まらず,代わりに毒のある花しか目につかない。
いつから,花を楽しめなくなってしまったのだろう。
美しい花ほど俺は潰したくなる。
ただ美しいというだけで,何が出来る?
どれだけ美しいものだろうが,いつかは腐り,朽ちてゆく。
強く,誰よりも強くならなければ,大切なものは何一つ守れない。