瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


だから,俺は何を犠牲にしても,自分の願いを叶える。

ただ,‘’あの約束”を守るためだけに頑張る。

そう,決めたから。

ーーーーーーなのに……。

どうして,あいつは俺に話しかける?

アイリス,と言ったか,あの新人メイド。

俺がどれだけ拒絶の反応を示しても,どうしても引いてくれない。

終いには俺のことが好きだとか嘘まで吐きやがって。

イラつく,あの屈託の無い緑の瞳。

どうせ,俺が何をしてきたか知らないくせに。

きっとあいつも俺自身に興味があるのではなく,俺の王様という身分に興味があるのだ。

あいつは貴族の出だから,親にでもアプローチしてこいと言われたんだろう。

好き……とか,おかしい。

特に冷徹・無慈悲と恐れられた俺の事に好意を抱くのは,おかしいの極みだ。

だから,もちろん茶会など俺がするわけないだろう?
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