瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
これでこいつも俺のことが嫌いになるだろう。
いつもそうだ。
俺に近づくやつは俺の王様という身分に興味があるだけで,俺自身に興味はない。
それで俺の本性を知って,離れていくのだ。
でも俺は別にそれでいい。
それがいい。
誰にも気にかけられず,死にたい。
願わくば誰も俺の事を知らない世界で存在事消えてしまいたい。
俺はそんな終わり方を願っている。
だから,アイリスも俺の事なんか嫌いになって,いつしか忘れてしまえばいいと思った。
しかし,神というものはつくづく俺を苛立たせる。
アイリスは怖いのと嬉しいのが混ざったよく分からない顔で俺を見つめた。
……逃げない。