瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
「なぜお前は!俺に何もかも構う!
見ればわかるだろう!
他のメイドはお前のように俺に話しかけない!
なのに!なぜお前は……!」
言ってしまったあと,後悔した。
これじゃあ,まるで俺がアイリスのこと気になっているみたいじゃないか。
どうもアイリスといると感情がそのまま出てきてしまう。
もう何も感じないと決めたのに。
「っ……あ,いや。
悪い,取り乱した。」
素直に謝るが,この角度からだとアイリスがどんな顔をしているのか分からなかった。
アイリスは桃色の唇を徐に開いたかと思うと,小さく,ほんの少しだけ迷うような声で言った。
「……だから,です。」