瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
俺にはあいつ以上に好きなやつなんて出来るはずがない。
……アイリスといると何かおかしくなってしまうだけだ。
アイリス自身が変人すぎるから気になるんだ。
だから,信じるな。思い込むな。
アイリスは俺の事別になんとも思ってないだろう。
俺だってあんな下級メイド,どうだっていい。
……どうだって,いい。
俺の世界はあいつとの約束が叶えられた世界。
そして,1人で誰にも気付かれずに死ねる世界。
そしてその世界にはアイリスは必要ない。
俺はまだほんの少し熱い頬を両手で包んで冷やす。
俺の部屋に朝日が差し込む。
まだまだ,頑張らなければいけない。
でも,あともう少し。
もう少しだけだから。
気合を入れて,俺は朝日に立ち向かうように目を見開いた。