瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


2人で顔を見つめあって,小さく微笑む。

もう,ここに来てから笑うことはないかと思ったのに…エラのおかげだな。

「汚い部屋だけど,ゆっくりしてね。」

エラはじっと周りを見渡している。

「ここ,本当にお城なの?」

そう言うエラに苦笑いを浮かべる。

そりゃそうだよね…

ボロボロの壁,雨が降ったら壊れそうな天井,おまけにベットと机と椅子しかない。

色んなところに埃がたまってる。

「メイドの部屋だけだよ。
多分,王様が暮らす所は,こんなボロボロじゃないよ。」

「もうちょっと良い部屋欲しいね。」

「そうだね〜。」
< 48 / 169 >

この作品をシェア

pagetop