瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
最近も,また潰そうと計画を立てているみたい。
冷徹で無慈悲。
王様に向けられるのは,そんな感情。
先王は本当に憎まれていたけれど,今の王様は怖いんだけど,どうも憎めない。
庶民の前に姿を現さないから…“幽霊王”ってあだ名がついてるみたい。」
そこまで話し終えて疲れたのか,エラは息を吐いてベットに横たわった。
幽霊王…あいつには,そんなあだ名がついていたのか。
さっきから,ムカムカしてしょうがない。
結局,潰そうとしているんだ。
その事実に,怒りと憎しみが湧いてくる。
「アイリスさん…?」
そんな私を,エラは不思議そうに見つめている。