瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
「……ひどい王様だね。」
やっとのことでそう呟けた。
怒りがお腹の中に渦巻く。
エラはそんな私をじっと見てから,
「そうかなぁ。」
と呟いた。
「私は,その王様,実は良い人なんじゃないかなって思ってるよ。」
そんなエラの言葉に,私の怒りは爆発した。
「違うっ!王様は悪い人に決まってる!!
あんな最低なやつ,良い人なわけないっ!」
『お姉様!!』
頭の中で,イアンの声が聞こえる。
悔しい。悔しい。悔しい…!
唇を思いっきり噛むと,血の味がした。