瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。


「何…?」

私は諦めて,話を逸らすのをやめる。

初めてできた本当の友達を,もう失ってしまうんだな。

私は,幸せになれない運命なのかも。

そう思ってボロボロの床を穴が開くほど見つめる。

「話して。」

急にエラがそう言った。

「辛いことがあるなら話して。
私は特別なことはできない。でも,聞くことはできる。

大丈夫。私はアイリスさんとずっと友達でいるから!」

明るく振る舞う彼女に,私は全てを話したい衝動に巻き込まれる。

“今度は私がお返しする番だよ”

可愛らしく笑う彼女に,そう言われているようだった。
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