瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
分かってる。分かってた。
血の繋がらない私が,血の繋がるイアンに勝てるわけがない。
イアンはお父様達によく似ていて,それがもっと私を苦しくさせる。
私は,誰かに愛されない運命なのかも。
そう考えたことだって,何度あったか。
とにかく私は,イアンに焼きもちをやいていたのだ。
「お姉様!!」
そして,イアンが少し大きくなると,なぜか私に懐いてきた。
お姉様,お姉様って,いつもまとわりついてくるようになったのだ。
でも…私はまだ複雑な気持ちだった。
イアンに罪はない。
私がいけないのだ。