瞳には雫を,唇には歌を,この世界に祝福を。
「お願いっ…!お願いっ…!」
何度も何度も,お母様はそう言った。
でも,その願いは叶わず…
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
お父様は,イベリアスリアルに負けた。
お父様の死体には,一度も触れることも,見ることもできなかった。
お母様が,見せられないと判断するくらい,お父様は,ボロボロになって死んだ。
そしてイアンの行方は,わからなくなった。
死んでしまったのだろうと,みんな口々に騒いだ。
国は荒れ果て,私達は,ひっそりと質素な生活をすることになった。
誰にも見つからないように,ひっそりと。
私達は,悲しむ暇もなく働いた。